最近の信用金庫の合併効果

 

(キーワード)信用金庫、合併、店舗、経費削減、収益性向上

<要旨>

.合併等に伴う店舗、人員の削減ペースが速まる

信用金庫の再編が加速するなか、実際の事例にもとづき、合併等に伴う店舗、人員の削減状況、経費効率の改善効果、収益性に与える影響などを分析し、信用金庫の再編動向を概観する。合併等前後の店舗数の推移をみると、特に本店所在地が同じ「重複型」では再編後に約2割の店舗を統廃合するなど、最近は店舗削減ペースが速まっており、役職員数も本部人員を中心に大幅に減少している。

.人員削減による経費効率改善効果が顕著

預金量に対する経費の割合である経費率をみると、99年度以降の最近の事例では、従来以上に経費効率が改善されている。また、最近の本店所在地が異なる「拡大型」の再編では、経費率が平均程度でも合併等に踏み切り、さらにコスト削減を図っている事例も多い。内訳をみると、経費減少の多くは約6割を占める人件費によるものである。なお、最近の事例でも1人当たり人件費の減少幅は小さく、人件費削減には合併等を契機とした人員数の減少が大きく寄与している。

.都市部での再編では、収益性向上に結びついていないケースも

合併等の前後での収益性の変化をみると、経費控除後の収益性を示す総資産業務純益率では、向上している事例もみられるが、経費控除前の業務粗利益では、99年度以降の最近の事例や、都市部の事例の多くで収益性が低下している。低金利の長期化や貸出残高の減少に加え、都市部における他の金融機関との競合状況の厳しさが、合併等金庫の収益性の向上を限定的にしている可能性もある。

.市場規模や競合状況などが信用金庫の再編動向に影響

実際の事例について、再編後の貸出金シェアと人口規模の関係をみると、大都市にある信用金庫ほどシェアが低く、シェアが高い信用金庫は小規模な都市に所在する傾向にある。他の信用金庫を含めた競合状況の厳しさが、都市部の信用金庫の収益性向上を妨げている要因の1つといえるだろう。合併等によって経費効率は改善するが、信用金庫にとってより重要な課題は、個々の営業地盤において競争力を確保し、再編を収益性向上に結び付けていくことであろう。

 

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