地方銀行の「地元回帰現象」と、信用金庫への影響
−各地の主要都市に展開する金庫が、厳しい競争にさらされている可能性も−

(キーワード)地方銀行、地元回帰現象、信用金庫、貸出残高、店舗展開

<要旨>

1.地方銀行の「地元回帰」〜各行は、地元の主要都市を営業地盤として重視

バブル崩壊以降、地方銀行が、東京や大阪などの大都市圏からもともとの営業地盤へ経営資源をシフトさせる、いわゆる「地元回帰」の動きが広範化している。地方銀行の、90年度末から2000年度末にかけての貸出ウエイトの変化幅を店舗エリアごとにみると、「本店を置く都道府県のなかで、人口が最多の自治体」に所在する店舗の増加幅が大きくなっている。地銀各行は地元のなかでも特に、中核的な存在となっている都市を、営業戦略上重視している模様だ。

2.地方銀行との競争激化もあり、都市部の信用金庫の貸出しは伸び悩み

90年度から2001年度の間に、合併等の異動がなかった272金庫の貸出残高の推移をみると、「本店を置く自治体の人口が、都道府県内で最多」の金庫からなるグループの増勢は相対的に鈍く、主要都市に重きを置いた「地元回帰」を進める地方銀行と、厳しい競争を余儀なくされていることが窺える。もっとも、信用金庫の貸出しは、多分に地域の経済情勢に影響されるものであり、また、競合する地方銀行が「地元回帰」を強く推し進めるなかにあって、信用金庫が健闘している地域も少なくない。

3.都市部で店舗の大幅削減が散見されるも、地域密着の姿勢は変わらず

信用金庫の店舗数は、98年度末をピークに減少しているが、これは、合併・再編を機に、営業区域が重複する店舗を統廃合する動きが進行したことが主因である。過去の事例をみると、「都道府県内で人口規模が最多」の自治体に本店を置く金庫が関係する合併で、店舗を大幅削減するケースが目立っており、地方銀行の「地元回帰」に伴う競争激化が、店舗戦略に影響を与えている可能性がある。ただ、前述の異動がなかった272金庫の店舗数は底堅く推移しており、厳しい経営環境下にあっても、地域住民の利便性を考慮し、厚い店舗網を維持している信用金庫が多いことを確認できる。

「地元回帰」の動きが当面続くとみられるなか、各金庫には、強みである地域密着型の渉外体制と店舗網を活かし、地方銀行や大手銀行がなし得ないであろう、キメ細やかな金融サービスの提供に努めることが求められてこよう。

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