. 健全な信用金庫の間でも預金流出が散見されるのが問題

  2002年4月から実施されたペイオフの一部凍結解除は、金融機関の間に大きな預金変動を生じさせた。各業態とも、定期性預金が大きく減少した一方で、要求払預金が急増し、全預金に占める定期性預金比率は急低下した。預金流出を懸念する信用金庫をはじめとする地域金融機関は、ペイオフ全面解禁の延期を求めてきた。

これを受け、政府は、決済性預金は保護するとして、無利息を条件に普通預金も全額保護とする見直し案をまとめたが、東証株価のバブル後最安値更新に伴い、全面延期論が勢いを増している。

  全国信用金庫の預金は、2002年3月末に初めての前年同月比減少を経験したが、これには、破綻金庫からの預金流出が大きく影響している。また、4月以降の総預金はほぼ横ばいで推移している。 

  とはいえ、懸念されるのは、規模が大きかったり、経営内容が良い金庫の間でも預金減少が見られることで、自己資本比率が12%を超えていたり、リスク管理債権比率が6%未満といった金庫の間でも、預金流出が散見される。当局がペイオフ解禁に期待した「預金者が健全金融機関を選別する」という状況とは思えない。

2.大手行への預金流入が続いているわけではない

  ところで、2002年4月末に都銀の預金は254兆円まで急増したが、7月には232兆円とほぼ3月の水準まで戻っており、大手行に預金流入が続いているということはない。なお、3月までの都銀預金急増の主因は、エンロン社の破綻に伴い11兆円ものMMF解約金のかなりの部分が、都銀に大量に流入したことにあると思われる。また、4月以降の急増の約半分は、親密地銀などからと思われる金融機関預金が13兆円も増えたことによるが、7月には5.6兆円と3月の水準をも下回っている。

3.地銀、第2地銀の健全先でも預金流出のケースがある

  地銀や第2地銀の間でも、自己資本比率や、不良債権比率などで見て健全と思われる場合も、信用金庫と同様、預金が流出しているケースがある。これは、預金者が、連日のように続いたペイオフ解禁報道に接して、「ともかく分散しておこう」と預け替えに走った結果であり、このまま全面解禁が実施されれば、個々の金融機関の健全性とは関わりなく、預金の大幅な流出入が生じる恐れが強い。金融システムの安全性が確保されない以上、ペイオフ解禁は全面延期が求められているといえよう。

 

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