信用金庫の収益性の動向とその問題点

−業態間の時系列分析より−

 

 

神奈川大学経済学部教授 数阪 孝志

信金中央金庫総合研究所研究員 成瀬 智

 

(キーワード) 信用金庫、収益性、利鞘、貸出、余資運用資産、不良債権

 

(要旨)

1.信用金庫の預金・貸出金利鞘は高いものの、総資金利鞘は低下

  信用金庫の総資金利鞘は、これまでは他業態とほぼ同じような動きを示していたが、近年は他業態を下回るようになってきている。ただし、信用金庫の預金・貸出金利鞘は、他業態より高く、安定して推移しており、現在でも高水準を維持している。信用金庫の人件費率は高く、そのため調達サイドである預金債券等原価も他業態より高いが、これは運用サイドである貸出金利回りが預金債券等原価の格差以上に高いためである。

2.減少に転じた貸出残高

  バブル期の貸出は全業態で大きく伸びたが、バブル崩壊後は業態間で貸出行動に違いが生じた。都市銀行や第二地銀が中小企業向け貸出を大きく減少させたのに対し、信用金庫は安定して伸ばした。しかし、信用金庫も、1999年度以降、不況による中小企業の資金需要の低迷から減少に転じ、総貸出残高は減少し始めた。一方、地方銀行は中小企業向け貸出の減少は免れなかったものの、個人向け貸出を伸ばしたことにより、貸出残高を維持している。

3.信用金庫の収益性低下の要因

  信用金庫の預貸率は、1999年度以降、貸出の減少により大きく低下した。これは、信用金庫の運用資産の中で余資運用資産の占める割合が拡大したことを意味するが、現在のような超低金利下においては余資運用資産から十分な収益を上げにくく、このことが預金・貸出金利鞘は高いのにもかかわらず、総資金利鞘は低下していることにつながっている。

4.収益を圧迫する不良債権処理コスト

  税引前当期利益は、95年度以降、都市銀行を中心に赤字が目立つようになり、99年度にはついに信用金庫も赤字を計上した。今後、景気低迷が長引くようなことになれば、信用金庫も不良債権処理には厳しい対応を迫られることとなろう。

 

全文を見る