1.不良債権の処理方法と流動化 〜 求められる最終処理

  不良債権の処理方法として、資産の債権額はそのままとし、貸倒引当金を積む間接償却と、債権額自体を減額する直接償却(貸倒償却)がある。間接償却は追加損失が発生する恐れがあり、貸倒償却は法的整理が原則となるため機動性に欠ける。最終処理には貸倒償却のほかに、私的整理に基づく債権放棄と第3者への任意売却(流動化)がある。機動的に不良債権を処理し、損失を確定するには任意売却が有力な方法だ。売却先としては、投資ファンド(外資が中心)やサービサーのほか、共同債権買取機構や整理回収機構がある。担保不動産が良質であれば、不動産投信への組入れも考えられよう。

 

2.小口化・証券化の方法 〜 優先劣後構造を取り込み多様な投資機会を提供

  流動化には、不良債権や担保不動産を、不動産特定共同事業を営む組合や特定目的会社(SPC)に売却したり、信託銀行に信託したりして、広く投資家に分割売却する小口化・証券化という方法もある。組合への出資持分や従来型信託の受益権は流動性に乏しいという欠点があるが、資産流動化法上の特定目的会社や特定目的信託(SPT)は、発行証券の流動性が高いことに加えて、担保不動産を裏打ちに信用上の優先劣後がある複数の証券を発行し、安全指向からリスク指向まで、様々な投資家ニーズに応えることができる。証券取引法上の有価証券として、ディスクロージャー制度も充実している。

 

3.リスク指向の投資家が少ないことに加えて、不動産の評価法、税制に課題

  証券化も万能ではない。まず、我が国にはリスク指向の投資家が少ないために、不良債権や担保不動産を売却した金融機関自身が証券化商品の劣後部分を購入するケースがある。その場合、オフバランス効果が得られず、BISの新しい自己資本比率規制が導入されれば、その点でも不利となる。また、売却する金融機関は、投資家が不動産の評価基準として重視する収益還元法を尊重する必要がある。国土交通省の新評価基準も収益還元法を重視している。不動産登録免許税と不動産取引税は信託に比べてSPCの場合の税率が高い点も改善の余地があろう。また、当然のことながら、フローの収益を生みにくい不動産については、そもそも証券化が難しいという問題もある。

 

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