米国経済の現状と展望

−先行き不透明感が払拭されれば、設備投資をけん引役に景気は徐々に回復へ−

 

  (キーワード)米国経済、個人消費、設備投資、IT投資、イラク戦争、日本経済

 

(要 旨)

1.世界経済への影響度を高める米国経済〜設備投資回復の基盤は整う

米国経済は90年代の高成長を背景に世界経済に占めるウエイトを高め、米国と世界景気の連動性は一段と高まっている。近年、日本の対米輸出は相対的に低い伸びにとどまっているものの、アジアを経由した間接的な輸出の増加を通じて、対米依存度は依然として大きい。

米景気回復をけん引した個人消費は、イラク情勢に対する不安、株安や雇用環境の改善の遅れなどで伸び悩んでいる。好調だった住宅投資にも陰りがみられる。設備投資の回復力も弱く、景気の先行き不透明感は拭い切れない状況にある。ただ、IT関連を中心にストック調整はほぼ一巡しており、設備投資が回復に向かう基盤は整いつつある。歴史的な低金利や追加減税の実施も景気の下支え役を果たすことが期待できよう。

2.イラク情勢と米景気〜地政学的不透明感が薄れれば、景気は回復軌道へ

イラク戦争の行方が今後の景気動向のカギを握っている。消費者や経営者の不安感は根強いが、戦争の長期化が避けられるとのメインシナリオを前提とすれば、景気は回復基調を維持できよう。91年の湾岸戦争当時も戦争終了とともに消費者心理は改善した。足元の景気は当時とは異なって回復の初期にあり、地政学的不透明感が薄れれば設備投資や個人消費は上向く可能性が大きい。しかし、戦争長期化や報復テロの可能性も排除できない。その場合、消費者や経営者の不安心理が一段と強まり、民需の冷え込みで景気はリセッションに突入する恐れがある。

3.日本経済〜株安やイラク戦争を背景に景気の先行きに不安が強まる

日本の景気は踊り場を迎えている。景気回復を主導した輸出は、頭打ちとなり、イラク情勢や株安に対する懸念も重なって景気の先行き不透明感が強まっている。しかし、イラク戦争が比較的短期で終結すれば、米景気は徐々に明るさを取り戻すとみられ、2003年後半には輸出と設備投資をけん引役に日本の景気も上向こう。ただ、社会保障負担の増加などで個人消費の増加は期待しにくく、景気は緩慢な回復にとどまる公算が大きい。

 

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