要旨

構造調整圧力にさらされる中小企業
〜大企業との格差は一段と拡大したが、過剰債務の削減は徐々に進展〜

(キーワード)中小企業、規模別格差、産業空洞化、構造調整、貸し渋り、財務分析

1.輸出主導の景気回復で大企業との格差は一段と拡大−付加価値率の引き上げが課題

2002年の日本経済は輸出主導の景気回復となったが、中小企業はそのけん引役を担った輸送機械や電気機械に関連する業種のウエイトが低く、大企業との業況格差は一段と拡大した。大企業に比べて固定費の負担が重いこともあって、企業収益も中小企業では回復が遅れている。中小企業は、固定費の一段の圧縮に加えて、高付加価値化や仕入コストの引き下げによる限界利益率の改善を推し進め、収益構造を安定化させる必要がある。

2.生産拠点の海外シフトによる逆輸入の増加などから、中小規模工場の数は大幅に減少

生産拠点の海外シフトによる逆輸入の増加などから、製造業の中小規模の事業所数は大幅に減少している。試算によると、輸入品の国内出荷が1%増加すると、国産品は0.2%の減少を余儀なくされる。また、工場の再編・集約や海外移転などの構造変化が中小工場の数を年4%程度減少させていると推計される。企業自身が高付加価値化に努めると同時に、政府は起業や新規事業の支援体制を早急に強化する必要がある。

3.過剰債務の削減は徐々に進展−投資促進には資金繰り不安の解消が必要

中小企業はキャッシュフローに比べて設備投資が著しく少ない。投資を抑制してキャッシュフローを債務返済の原資に充てているからである。その結果、過剰債務の削減は徐々に進展しているが、中小企業では資金繰り悪化に対する不安が根強く、投資マインドの冷え込みに拍車がかかっている。資金を安定的に調達できる環境を整備する必要がある。

4.中小企業の再活性化には、起業・新規事業参入・再起を容易にする環境の整備が不可欠

倒産理由の6割程度が販売不振であり、デフレは中小企業にとって死活問題になっている。デフレ克服のためには、製品の高付加価値化、衰退事業からの転換、共同化・連携による低コスト化・販売力強化などを支援する政策を政府は打ち出す必要がある。中小企業の再活性化には、起業・新規事業への参入・再起を容易にする環境を整備することも不可欠である。

 

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