(2004.3.31)

 

 
<要旨>

輸出主導の景気回復下で、地域間格差は一段と拡大

2003年の回顧と課題〜

 

1.輸出・設備投資をけん引役に景気は回復基調に復帰〜地域別にはばらつきが目立つ

2003年前半の日本経済は、イラク戦争や新型肺炎SARSなどの影響から輸出が減速、踊り場を迎えた。ただ、年後半には米国景気の回復や中国の高成長などを背景に、輸出が伸びを高め、設備投資の回復持続と相まって、回復基調に復帰した。個人消費はデジタル家電を中心に底堅く推移、日本経済は年末に向けて徐々に回復テンポを高めた。地域別には、自動車・電機をけん引役に東海地方が好調な一方、北海道は低迷が続くなど、地域間格差が一段と拡大した。

2.輸出・生産の拡大で、企業収益・設備投資も回復〜景況感は大都市圏と地方で格差

景気のリード役となった輸出は、地域別ではアジア向け、品目別ではIT関連を中心とした電機の高い伸びが目立った。2003年の鉱工業生産を地域別にみると、電機を基幹産業とする東北を筆頭に、北海道を除く全ての地域で前年を上回った。輸出・生産の拡大に伴い、製造業を中心として企業収益が改善、設備投資の回復をもたらした。ただ、企業の景況感は、非製造業で地域間格差が大きく、3大都市圏に比べて、地方の出遅れが目立つ。

3. 雇用は改善傾向ながら、一部地域は2003年も失業率が上昇。個人消費は底堅く推移

企業部門の回復から、雇用情勢も改善傾向にある。有効求人倍率は上昇テンポを高め、失業率も多くの地域で低下した。ただ、一部地域では失業率が過去最悪を記録、就業者数が減少した地域も少なくない。雇用環境は依然として厳しいが、医療・福祉業の就業者数は大半の地域で増加した。こうしたなか、マインドの好転を背景に、個人消費は予想以上に底堅く推移しており、デジタル家電を中心に足元の個人消費は伸びを高めている。

4.地域間の人口移動を一因に住宅投資に地域格差。公共投資は引き続き減少

2003年の住宅投資は、住宅ローン減税の期限切れを前にした駆け込み需要の増加を背景に、3年ぶりに増加した。ただ、地域別には、人口の流入超過を一因として南関東、沖縄が比較的好調であるのに対し、東北は4年連続の前年割れを記録した。公共投資は国の補助金縮小や地方財政の悪化を背景に引き続き減少した。公共投資削減の結果、公共投資への依存度が高い地方圏経済は大きな打撃を受けており、これが大都市圏と地方圏の景気格差の一因となっている。

5.動き出した地域活性化に向けた取り組み

経済の地域間格差が広がるなか、地域経済の活性化のためには、地域が自ら考え、行動することを通じて、地域特性を活かした対策を打ち出すことが必要である。この観点から、政府が推進している「構造改革特区」や「地域再生策」の動向が注目される。ただ、構造改革特区の成果の検証はこれからであり、2月末に決定された「地域再生推進プログラム」に対しては、小粒で寄せ集めとの批判的な見方も少なくない。地域再生に向けた取り組みは緒についたばかりである。

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