<要旨>

 

地域間のヒト・モノの相互依存関係からみた空洞化の現状

−人口移動、地域間産業連関表による実証分析−

視点

日本経済が緩やかな回復過程を辿るなか、大都市圏への人口流出や製造拠点の海外シフト、公共投資の削減などに伴って、地域経済の空洞化が懸念されている。景気が回復に向かっているとはいえ、大都市・大企業中心であり、地方にまで回復効果が波及しにくい産業構造になっているおそれがある。そこで、本稿では、地域経済活性化策について検討する際の指針を示すことを目的に、地域経済の空洞化について検討してみた。具体的には、主に経済産業省『地域間産業連関表』を用いて財やサービスの地域間取引の構造を分析し、各地域の需要と供給の域外に対する依存関係や製造業の空洞化・公共投資の削減が地域経済に与えるインパクトなどを計測した。

要旨

地方から大都市圏への若年層の流出が、社会動態・自然動態の両面で地方における人口の空洞化を加速させている。

滋賀・鳥取県 で人口が都市部へ集中する一方、佐賀・和歌山県 で人口の分散が進むなど、各都道府県 が隣接する地域内で担う役割や機能によって都市化の進捗度合いが異なっている。

サービス業が製造業や商業からの離職者の受け皿となり、雇用情勢の悪化を緩和している。

中部・中国地方は他地域の需要への依存度が高く、特に輸出動向の影響を受けやすい。

製造拠点の海外シフトによって、生産額の14%、雇用者所得の11%に相当する額が海外に流出したと試算される(01年度)。

公共投資の削減は、特に北海道・東北・四国地方の生産活動に大きなダメージを与えた。

各地域の経済活動に伴う所得の域外への流出は、四国・中国・東北地方で顕著である。

サービス経済化は、域外への所得流出の減少を通じて域内経済を活性化させる効果が大きい。

地域経済の活性化のためには、サービス業を中心に新産業の育成を図り、製造業の空洞化や公共投資の削減の影響を受けにくい、自立性の高い産業構造に転換することが求められる。

キ−ワード

  地域経済、空洞化、人口動態、地域間産業連関表、生産波及効果、海外生産、公共投資

 

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