<要旨>

 

デフレの現状と展望

 

−デフレ脱却、量的緩和の解除は早くとも05年度下期−

 

 

 

視点

消費者物価や企業物価の前年比下落率は徐々に縮小しており、近くプラスに転じるとの見方が広まっている。日銀が量的緩和解除の基準として消費者物価(除く生鮮食品)の安定的な上昇を条件にしていることもあって、その動きに注目が集まっている。実際、物価下落率の縮小を背景に、金融市場では想定より早い段階で量的緩和が解除されるとのリスクを織り込みつつあり、長期金利の上昇を抑制する「時間軸効果」は弱まっている。ただ、日本経済の回復力は弱く、物価指標が示唆するほどデフレ脱却の時期が近いとは想定しにくい。そこで、最近の物価変動の要因を分析し、デフレ経済の現状を把握することが必要と考えた。また、デフレ脱却の時期を展望することで、金融政策の行方や中期的な金利動向を占ううえでの参考としたい。

 

要旨

l         消費者物価の前年比下落率は徐々に縮小している。ただ、医療費の自己負担増やたばこ税の増税などの影響が大きく、実勢ベースでみた足元の下落率は0.5%程度と試算される。

l         物価指数は基準年から時間を経るにつれて、実際の物価より上振れする傾向がある。新製品が調査対象外であることや、指数水準の大幅な下落による寄与度の低下などが影響する。

l         国内企業物価の下落率も縮小している。アジアの需要増を背景とした国際商品市況の上昇で、素材を中心に値上げが進展していることが背景である。また、製造業の生産能力がピークから10%削減されるなど、供給側の調整が進んだことも一因である。

l         消費者のデフレ期待が後退している。家計の消費行動も「安さ」から品質や機能を重視する傾向に変化しつつあり、高額商品に対する需要は徐々に高まっている。

l         デフレ脱却に向けた動きは着実に進んでいるが、マクロベースの需給ギャップを解消するには、なお時間を要する公算が大きい。量的緩和の解除は、消費者物価が安定的なプラスに転じ、景気が自律回復局面に入ると想定している05年度下期以降にズレ込むと予想される。

 

キーワード

  デフレ、消費者物価指数、企業物価指数、潜在成長率、需給ギャップ、量的緩和

 

全文を見る