<要旨>

都道府県の社会・経済特性からみた課題と対策

−地域の社会・経済構造に即した成長産業の育成が必要−

 

 

視点

日本経済は底離れの兆しがうかがえるが、回復期待は大都市圏で先行し、地方にまでは浸透していない。日本経済の再生には、地方経済が活力を取り戻すことが不可欠であるが、地域ごとに社会基盤や経済構造が異なるため、従来のように中央政府による全国一律的な対策を行うのではなく、地域特性に即した活性化策を地域の産学官などが連携して実施することが必要である。そこで、本稿では、総務省『2003社会生活統計指標』のデータから人口、世帯・住居、経済、労働などに区分される45の指標を用いて、都道府県を社会・経済構造の類似性に基づいて主成分分析によって分類し、その特性に起因する地域類型ごとの課題や対応策についての検討を試みた。

要旨

都道府県を「都市化の度合い(所得水準の高さや犯罪件数の多さなどを強く反映する成分)」 と「社会基盤の安定度(世帯の有業人員数の多さ、離職率・離婚率の低さなどを強く反映する成分)」という観点から5つの地域類型に分類し、類型別の特性を分析した。

第3次産業のウエイトが高く、人口や雇用の流出入が活発であるなど、社会基盤が流動的である都道府県は「都市型」に分類した。同じ「都市型」といっても、サービス業の発展度合いは大きく異なっている。知識集約型サービスは東京に一極集中しており、地方都市はソフト・コンテンツ産業などの育成強化により東京にキャッチアップすることが求められる。

「近郊工業型」、「地方工業型」は、持家世帯や世帯人員が多く、失業率が低いなど社会基盤が安定している。家族相互扶助の傾向が強いことを背景に世帯当たりの貯蓄残高が多く、世帯間格差も小さい。製造業の空洞化が懸念材料であり、産学官連携による研究開発、卸売業による地元製造業の製品・技術に対する需給のマッチング機能強化、などが課題となる。高齢化や家族連帯型社会の弱体化に対応して、医療・福祉サービスの充実を図る必要がある。

「農村型」は、転出率・離職率が高いなど、社会基盤の安定度が低い。「沖縄型」は、出生率が高く、高齢化・過疎化は進展していないが、高失業率で所得水準が低い。余暇・観光サービスのテコ入れによる地域の活性化を図ることが最重要課題となる。

キ−ワード

  地域経済、産業構造、地域特性、サービス業、消費構造、少子高齢化、多変量解析

 

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