1.英国における中小企業政策の歴史

    英国では階級社会としての歴史が長く、生産設備は資本家階級に支配されてきたため、従来は国民のなかでの起業家精神は決して高くはなかった。しかし70年代後半以降、長引く不況により増加した失業者が、雇用の受け皿として新規開業を行なうようになった。政府も失業対策の意味合いからこれを後押しし、以後英国における新規開業は毎年増加してきた。

しかし、こうして政府施策を受けて開業した新興企業も、実際にはそのほとんどが自己雇用を創出するにとどまるものが多く、業容を拡大していける競争力を有するものは必ずしも多くはなかった。そこで英国政府は90年代半ば以降、中小企業政策の重点を開業支援から競争力強化、ノウハウ習得へと移してきており、特に現トニー・ブレア労働党政権になってからは、中小企業政策がさらに明らかなかたちになってきている。

2.英国における中小企業の現状

英国の中小(零細)企業は、数の面では事業全体の99.8%を占め、日本のそれとほぼ同水準となっている。しかし英国の場合には、中小企業のほとんどが個人事業者・零細企業によって占められており、また企業の平均業暦は7年、新規開業した企業の半数は3年以内に姿を消すといった、中小企業の「多産多死」といった現象がみられる。こうした英国における中小企業の多産多死傾向は、同国において新規開業が容易であるという面と、中小企業の事業拡大が難しいという両面を表している。

3.中小企業のファイナンスの現状

新規開業が容易な英国においては、開業のための費用は我が国と比べてかなり小額で済むため、自己資金のみで開業するケースも多いが、外部資金を調達する際は多くの場合銀行借入が利用される。借入形態としては、オーバードラフト(我が国の当座貸越に相当)と、タームローン(我が国の証書貸付に相当)が多く用いられており、5年を超す長期の借入も多く行われている。

なお、大手4大銀行による寡占により中小企業が大きな影響を受けていると言われている。借入にあたって上乗せされるマージンは平均1〜4%、場合によっては6%を超えるケースもあり、その意味での金融アクセス面での障害が問題視されている。

 

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