2003年の日本経済の展望

−内需の回復基盤は脆弱、2003年度も米景気の動向がカギを握る−

総合研究所主任研究員・角田 匠

 

(要 旨)

1.輸出回復による内需への波及は限定的〜電機・輸送機に偏った回復が背景

2002年度上期の景気は輸出の拡大と堅調な消費を背景に回復に転じた。ただ、夏場以降輸出は伸び悩み、企業収益回復にもかかわらず設備投資は低迷している。輸出回復が投資へ波及する従来の回復パターンが崩れた格好だが、輸出や生産の回復が電機・輸送機に偏っていることが一因といえよう。企業収益回復が人件費削減などリストラに依存していることも景気回復に広がりが出てこない要因である。米景気減速もあって、景気の先行き不透明感は強まっている。

2.日本経済のカギを握る米景気〜一進一退を繰り返しながら徐々に回復へ

米国経済は、2002年初めに急回復したが、年後半は景気回復を先導した自動車販売や住宅投資が頭打ちとなり、先行き不透明感が拭い切れない状況にある。ただ、景気が再び後退局面を迎えるとは考えにくい。長期拡大後のリセッションに伴う調整圧力は、その後の景気回復初期にも影響が残り、緩慢な回復を余儀なくされる傾向がある。前回の景気回復初期(91〜92年頃)も回復力は弱く、本格回復までに2年程度を要した。今回も一進一退を繰り返しながら徐々に明るさを取り戻していくと予想される。また、設備投資の調整は過去と比較しても劇的で、回復に向けた基盤は整いつつある。金融緩和や減税など経済政策の実施も景気を下支えよう。

3.足元の景気は踊り場ながら景気後退は回避へ〜米景気の回復持続が前提条件

足元の国内景気は調整色を強めている。2002年11月の景気動向指数(一致指数)は10カ月ぶりに景気判断の分かれ目となる50%を下回った。実質成長率は一時的にマイナス成長に落ち込む可能性も大きいが、米景気の回復持続を前提とすれば、年央には輸出主導で景気は再び持ち直そう。ただ、景気後退を回避しても回復ペースは緩慢にとどまる公算が大きい。2003年度は家計の社会保障・租税負担が1.8兆円程度増えるほか、不良債権処理加速に伴い雇用面でも下押し圧力が強まる。投資減税のプラス効果は期待できるが、内需の回復力は脆弱と言わざるを得ず、米景気が予想に反して失速した場合には厳しい景気後退が避けられない。

 

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