中国のWTO加盟が日本経済に与える影響

−空洞化の促進要因となる反面、輸出市場としても有望−

 

 

1.中国からの趨勢的輸入増が貿易黒字の縮小要因〜中国は世界の工場へ

日本を含む外資の積極的導入を背景とした国際競争力の飛躍的向上で、中国からの輸入が趨勢的に増大している。2001年の輸入金額は、前年比18.3%増の7.0兆円と、最大の輸入相手である米国の7.7兆円に肉薄した。この結果、2001年の景気後退局面においても、日本の貿易黒字は一段と縮小した。中国は世界の工場としての地位を固めつつあるが、WTO加盟を機に中国への直接投資は再び増加、低賃金、インフラの整備を背景に、日本企業も今後の生産拠点として、中国を最重視している。

2.中国のWTO加盟は空洞化を促進〜中国との競合度の高い地域に打撃

アジアの日系製造業は、原材料・部品の現地調達を拡充、日本への依存度は低下傾向にある。その一方で、日本の輸入浸透度は精密機械、繊維を中心に上昇が著しく、産業の空洞化が進んでいる。特に、繊維では中国の競争力が圧倒的に高く、最近ではIT関連でも中国の躍進が目覚しい。90年代以降、製造業の事業所数は減少傾向にあるが、海外生産比率がこれまでの上昇トレンドを維持した場合、2010年度の事業所数は2000年度比で20%近く減少する恐れもある。地域別には、中国からの輸入品との競合度合いが高い地域ほど打撃が大きい。現状では、北陸の出荷額の構成比が対中輸入の構成比と類似しているが、対中輸入に占める電気機器の割合が高まっていることから、東北・関東に与える影響度が強まりつつある。

3.中国は輸出市場としても有望〜日本は技術力・生産性の向上が急務

中国のWTO加盟に伴い、関税率の引き下げや外資出資制限の撤廃などが図られる。巨大かつ成長力の高い市場が開放されることで、日本の対中輸出は中長期的に拡大傾向が期待できよう。なかでも、高関税率を課せられ、制限措置が多かった自動車産業にとってメリットが大きい。ただ、自動車メーカーは、対欧米同様に現地生産にも力を入れるとみられ、輸出の増加余地はその分低下しよう。いずれにせよ、汎用品や労働集約型製品における日本の競争力は今後も低下が避けられず、日本企業は高付加価値品に特化する必要がある。ITやナノテクノロジーといった成長分野の技術力の強化が今後の課題といえる。

 

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