1.大学発ベンチャーが注目されてきた背景

  2001年の「大学発ベンチャー1000社構想」を機に、大学の人材や技術等をもとに起業する大学発ベンチャーに注目が集まっている。その背景としては、@産学連携からの発展、A経営が厳しさを増す産業界・企業サイドの期待、B少子化など環境が悪化する大学サイド、C国の施策・環境整備の強化、D内発的発展を目指す地域からの期待、E先進事例としてのアメリカの存在、Fベンチャービジネス・ブームからの流れ、Gクラスター・ブームからの流れ、といった要因があると思われる。

 

2.アンケート調査からみた大学発ベンチャーの概況

  筑波大学と日本経済新聞社のアンケート調査によれば、大学発ベンチャーは、@ここ2〜3年の間に設立、A国立大学の高い関与度、BIT・バイオ・ナノテク・環境の4分野への偏重、C社員数10人未満の小規模企業、D売上高は過少で赤字企業、E大学教授が自ら起業、F株式公開を目指す、G人材不足・資金不足が課題、といった傾向が見られた。

 

3.ヒアリング調査からみた大学発ベンチャーの実像

  ヒアリング調査結果に基づいて、大学発ベンチャーを組織形態と成長志向の観点から分類すると、@「大学教授主導型」A「科学者起業家型」、B「ベンチャーキャピタル主導型」、の3パターンとなる。本レポートでは、各類型ごとに企業事例を3社紹介しているが、現在のところ、大学教授が実験室の延長線で起業した研究・教育振興志向の強い「大学教授主導型」が多く見られる。

 

4.大学発ベンチャーの問題点と存在意義

  多くの大学発ベンチャーが早期上場を目標に掲げているが、ビジネスプランが甘く、内実が伴なっていない方が多い。また、共同研究など出身大学との関係に終始する傾向が見られ、地域の既存産業や中小企業への波及効果は望み難く、地域活性化の起爆剤として期待するにも無理がある。ただ、大学発ベンチャーは、IT・バイオ・ナノテク・環境の重点分野において、国家競争力の強化という観点からは貴重な存在となろう。

 

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