<要旨>

 

市区町村が懸念している課題とその対策の地域社会・経済的背景

〜『地方公共団体アンケート調査』(市区町村)の回答結果に基づく分析〜

 

 

視点

本中金は、地域金融機関である信用金庫が、地元の地方公共団体との連携のあり方や地域経済社会に対する支援の方向性などを検討する際の参考とするため、全国の主要な地公体に対し、13年1〜2月にアンケート調査を実施した。本調査では、様々な地域の課題に対する懸念度合い、課題解決のための対策への取組み度合い、地域金融機関に期待する役割などを尋ねている。

本稿は、“市区町村”の回答結果に基づいて、基礎自治体である市区町村が、どのような地域の課題に対して強く懸念を抱き、どのような対策に取り組んでいるのかを、都道府県別や地域の社会・経済構造別に考察した。この結果を地元の社会・経済構造と照らし合わせることで、各地域が抱える課題や取り組むべき対策を展望する際の一助となることを目的としている。

 

要旨

l         市区町村は全国的に高齢化の進行を特に懸念しており、団塊世代等の高齢者入りで都市部でも懸念している市区町村が多い。一方、高齢化率が高い地域は人口減少を特に懸念している。

l         車社会が進んでいる地域は中心市街地の衰退を懸念する傾向が強い。ただ、地方都市の郊外では、車社会前提の生活が確立されており、中心地より商店街の衰退を懸念する向きは弱い。

l         南海トラフ巨大地震や首都直下地震のおそれがある太平洋側地域で災害発生への備え、人口が増加している都市部周辺で地域コミュニティの希薄化を懸念する傾向がある。

l         大都市や人口増加率が高い市区町村は保育施設の不足、高齢化率が高い市区町村は若年層の人口流出への懸念度が高い。一方、世帯人員が多い市区町村は保育施設の不足や所得環境の悪化への懸念度が低い。中心地ではスプロール化によるドーナツ化現象への懸念がみられる。

l         各都道府県における市区町村の課題解決への取組み姿勢は、@幅広く“全般的”な課題に取り組んでいるか、A“都市的課題”と“地方的課題”のどちらを積極的に実施しているか、B“住民の生活環境改善”と“地域活性化”のどちちらを重視しているかで特徴付けられる。

l         信金に存在感を感じている市区町村は北海道、南関東、東海に多い。地銀に存在感を感じている市区町村が多い地域では、信金の存在感は弱く、信金と地銀は市区町村からみて競合関係にある。信金・信組に存在感を感じている市区町村は金融機関とのリレーションが強い。

l         信金に存在感を感じている市区町村は、信金に地域振興策への参画や地元企業へのビジネス支援などの役割を期待する傾向がある。今後は、地公体や地元住民・企業に対する資金面・金融商品に関する提案力の強化に加え、信金の強みでもある地域振興策への関与・アドバイスや地公体との地域経済の活性化に向けた連携を一段と高めることが必要であろう。

 

キーワード 地方公共団体、アンケート、地域、課題、懸念、対策、主成分分析

 

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